MOZA RacingからR21 Ultraテスト依頼が届いた

今回は、MOZA Racingさんから「R21 Ultraをテストしてみませんか?」という連絡をいただきました。MOZAさんの製品はこれまでにもいくつかテストさせてもらってきました。
MOZA R21 Ultra
テストの場合、発売前の段階でレビュワーに製品が配布されるため、初期ファームウェアから、発売までの期間中にどんどんバージョンが変わったりします。
そのため、この記事執筆時の挙動と、皆さんが手にした時点での挙動が異なる可能性があります。
その点はあらかじめご了承ください。(多分、最近も触ったから大きなファームウェアの変化はないと思うけど)
このテストでは、MOZAさんから製品提供され、「こう書いてほしい」という細かい指定がされていないので、「そういう条件なら、(細かい指示が出てきたこともないし、記事の修正とか毎回無いし)忙しいけど引き受けるか」とテストをしています。ただし、フラグシップクラスのホイールベースを無償で送ってもらっているわけで、多少の忖度もしてしまいそうではありますがw、自由には書きますが、でもメーカー側の立場からしても、「この人に提供したらある程度製品の内容をしっかり伝えてくれるな」と思ってくれる程度の記事は書かないといけないと思って書いています。
下記リンクからMOZA Racing公式サイトで購入していただくと、購入代金の数%が僕に支払われる仕組みになっています。なので、それなりにしっかりと文章を書くようにしています。
中国から送られてきますが、結構早く着きますし、毎回しっかり梱包されているので、箱が傷ついていることもほぼないかと思います。
広告料はブログのサーバー代や人柱購入、SIM環境アップグレード費などに充てています。週末にフラフラになりながら書いているので、モチベーション維持のためにも、こういう広告が貼られていることをお許しください。
MOZA R21 Ultraの気になる価格は?
USD $ 699.00
EUR € 799.00
GBP £699.00
AUD 1,299.00
JPY 119,900.00
ということで、ざっくり言うと12万円+送料という感じですね。保持トルク21Nmのダイレクトドライブがこれぐらいの価格で手に入るようになっているのは、今からステップアップする人にとっては嬉しい環境だと思います。
MOZA R21 Ultraと全世代のR21の違いとは?
MOZA R21シリーズの進化の流れ
R21シリーズは以下のように進化しています。
- R21(初代)
- 新バージョンR21(2世代目)
- R21 Ultra(3世代目)
以前に新バージョンR21を提供いただいたので、今回はそれとの比較がメインです。
(R21V2と言っている人もいるかも。MOZA公式では“新バージョンR21”が正式名称とのことです。)
過去には初代のR16も提供してもらいました。R16 v1はステアリング認識がBluetoothで、背面ポートも最小構成(電源・USB・緊急ストップ端子のみ)でした。
新バージョンR21からは背面ポートが増え、ペダルやダッシュボードなどのデバイスを直接接続可能に。
R21 Ultraもこの構成を継承しています。
ほんと、一つ前の世代なのに、新バージョンR21という名前、紛らわしいですねw
軽く開封説明
今回は、R21 Ultraに加え、撮影とかセッティングの幅を持たせるため、こちらで希望してエクステンションも送っていただいています。(今までなくてちょっと不便だったので)

できる限り画面を軸に近づけることができるし、その状態で前後にある程度画面を動かせるわけで、ほんとエクステンションがあれば視野の設定の幅と柔軟性が広がるので、視野(画面とステアリング感の距離)の調整にもう少し幅を持たせたい方なんかは、あったら助かるアイテムだと思います。
※参考までに写真右上のホイールベースは前世代のR21(新バージョンR21と言っているやつ)です。

ステッカーと取説が入っていました。

ACアダプタと電源ケーブルと、ちょっとした工具金物類。

横から撮るとこんな感じ。R3〜R12のデザインが少し長くなったぐらいのデザインですね。実は一番上の長方形の部分が光ります。なんかもうちょっと綺麗に写真撮ればよかったですね。でも、これぐらいの下手くそな写真の方がリアリティがあるということで。

↓後ろ側のソケットはこんな感じ。(電源、USB、ペダル、ダッシュパネル、シフター・ハンドブレーキ、緊急停止ボタン)

↓これは一世代前のR21です。配置は多少違いますが、コネクタの数・種類は全く同じです。

MOZA R21 Ultraデザイン・構造の変更点

左が第二世代のR21、右が、初代のR16(初代R21も同じ見た目のはず)
上の写真は2つとも従来モデルなのですが、従来のモデルは、軸が本体に対してやや上向きに伸びていましたが、R21 Ultraでは軸が本体と完全に平行になりました。
↓旧型のR16・R21の軸が上向になっているのがよくわかる写真

R21・R25 Ultraではこの変更により、他社DDとの交換時の互換性が向上。

複数DDを所有している人にはうれしいポイントです。そんな人は少ないかと思いますが。

R21Ultra取り付け後に、↑前世代のR21を取り付けたらこんな感じになってしまう
R21UltraやFanatec Clubsport DD+とかではちょうどモニタの下に軸が通るわけですが、前世代のR21をそこに取り付けるとこんな感じで、モニタの下ギリギリに。ここにステアリングをはめるためには、ホイールベースの位置を数センチ下にするように調整する必要が出てきていた。
僕のようにR16やR21をMOZAステアリングとかのレビューの際にポジション調整していた人間にとっては、この改良はありがたいです。さらに、エクステンションも提供してもらったので設置や画面感距離とかFOVを合わせるのが楽になります。(エクステンションは、おそらくすべてのMOZAホイールベースでも使用可能)

MOZA機をレビューしやすくなりました。LEDライトも左右に1本ずつ内蔵され、デザイン性もアップしています。

以下の写真は、MOZA R12やR9、Fanatec等の軸が水平なホイールベースからそのまま一世代前のR21を取り付けた時の写真なのですが、明らかにステアリングが上の方を向いているわけで、このままやると手首が痛いんですよね。

だから本気でポジションを合わせるためには、ホイールベースを固定する台の角度を変えていかないといけないのですが、それが大変で。そのまま使うのならいいのですが、僕は色々なホイールベースがあるわけで…。
一番大変なのは、このままだったら軸がモニタにあたっちゃうから、どうにかその辺も調整しないといけなかったわけで、こういうことから解放されるわけです。(ほんと、大体の人にとっては関係のない話だと思いますが)
今回新たに実装されたLEDですが、32インチ×3画面構成で遊んでいる方は、本気で視野角とかを合わせ込むと、ホイールベースがモニターの背面に隠れ、直接LEDがキラキラ光るのを見る機会は減るでしょう。背面から漏れる光を楽しむことはできると思います。

実際はどう違う?R21 Ultraの進化について
ハンコン業界は成熟期に突入していると思う
正直、ハンコン業界はもうかなり成熟していると感じます。(ダイレクトドライブに注力してきた老舗系については。)MOZAはコロナ禍にDD市場へ参入し、R21やR16を開発・発売。当時ホイールベースのBluetoothを用いたステアリングの認識の問題もあったようで、改良を重ねて今に至ります。だいたい参入から5年ぐらい経ったでしょうか。MOZAのスピード感をこの数年間製品提供という形で体験させてもらいましたが、ハンコン業界というか進化が恐ろしく早いなと感じるわけです。
スピード感が早いのは認めますが、すでに結構十分進化してきているわけで、前の世代の新バージョンR21と今回発売のR21 Ultraのエンコーダー(角度とかを電気信号に変換するやつ)はいずれも21bitの分解能で、数値的には向上しているわけではありません。21bitって、2,097,152段階な訳で、信号の分解能はすでに人間の感覚限界に達しているとも言えます。これ以上、高性能なものを入れても人間はその差を感じられないのでは?と思うわけです。どれだけ早く演算して、素早くFFBを出力しているのか?ということも関係してくるとは思いますが、その辺はいまいち情報がないため書けませんが、各社十分早くフィードバックを変えせれているのではないでしょうか。
実際触ってみると、はっきり言って僕は違いをすぐに感じられるほどFFBのテイスティング能力を持っていないようで、ブラインドテストをされてもどちらが新型か当てるの難しいのでは?なんて思いました。自分でホイールベースを交換しながら比較しているわけで、まず、新型を触って「新型使ってるな」なんて思いながら運転してみると、「なんかタイヤのぬめーっとした感じが伝わってくる!!」なんて初め思うわけです。でもその後一世代前のものを使うと、「(もしかしたら新型の方がなんか繋がり感があるような気もするけど)あんまり変わらないな」とも思うわけでw(その「繋がり感」とか「ぬめぬめ感」もダンパーだとかフリクションいじると変わりますし)
そもそも、このあと紹介するMOZAのソフトウェアであるPit Houseで、FFBについて数多くの調整できるパラメーターがあるわけで、同条件でテストできたのかと言われると100%そうと言い切れません。何個かプリセットのパラメーターを使いながら比較するわけですが、正直言って、「明らかに変わった!!」と言い当てるはやっぱり難しいですね。
ただ、現在公式ショップには旧世代のホイールベースは販売しておらず、今回の新型の値段も下がって?います。購入を検討されている方は、悩まずに購入できるかと。(日本のSIMショップがセールで旧型を売っているなら、この記事を読んで新旧の違いを知った上で、購入するのもありでしょう)
ソフトウェア「Pit House」の進化
MOZA製品の管理ソフト「Pit House」も年々進化しています。設定項目が多く、シムマニアな方でも満足できるだけの設定項目があると思います。
初心者にとってはプリセットも用意されてはいますが、一度詳細にセッティングしようと思うと、英語の能力だとか、各パラメーターが何を意味するのか説明を読みつつ総合的な物理的なことをイメージできる想像力が必要かもしれません。(その辺は最近はネット検索とかAI検索とかで解決できるかもしれませんけどね)
購入後はまずファームウェアを更新すべきですが、最新すぎるバージョンで不具合が出る場合は、一つ前のファームウェアに戻すのも有効です。
昔は、ホイールベースの設定のページにいくと、GTとかFormulaとかRallyとかのプリセットが用意されていたのですが、最近開くとそれがなく、MOZAの担当者さんに「プリセットはどこで選べるのでしょうか?もしなくなってしまっているのなら残念です」的なコメントを送ると、「ここにあるよ」と連絡が。MOZA Pit House内の本のマークをクリックすると、プリセットを選ぶことができるようになっていました。

これからホイールベースのセッティングページを表示していきますが、伝えたいことは、とにかくたくさんのパラメータがーあるということ。
Basic Settings

ステアリングの角度や、最大のFFB、そのスピード等。「Auto Load Prset」なんてボタンもあるので、その辺がどこまで対応しているのかと言うところですね。
Advanced Settings

ダンパーとか、フリクションとかですね。
FFB Effect Equalizer

特定の周波数のFFBを強めることができます。例えば、低い周波数を上げると、低速で縁石に乗った時の衝撃を強めることができるとか。
Base FFB Curve

これをどのように使うべきかはわかりませんが、例えば微細なFFBのところを増強して、微細な変化をより感じられるようにできますね。本来小さい領域のFFBを強めるか、強いFFBを弱くしてやったりするといいわけです。僕が書いていることがよくわからなければ、触らずにプリセットを使いましょうw
Miscellaneous(その他)

あともろもろ。Start-up musicをOnにすると、ハンコンの電源を入れた時にハンコンが振動しながら音を出しつつ起動します。選択するMusicにもよりますがちょっと愉快な感じです。
R21 UltraをiRacingで走らせてみた感想

R21Ultraは、iRacingの360Hzモードというものも搭載しているようです。
実際にiRacingで走ってみると、「前世代よりもスムーズになっていそう!?」なんて思ったりもしました。(が、結局序盤に書いた通り、明確に違いを言い当てるのは難しいとも感じた)トルクも十分、FFBの反応速度も十分な印象。細かなFFBも伝わってきます。FFBの質と言う点では、これを買って不満があるということになることは少ないのではないかと思っています。
最近のダイレクトドライブだと、各社同じかと思いますが、金属メインで作られているハンコンなので、ガタがあったりだとかもなく剛体感を感じられます。軸もスムーズに回ります。もう、どのブランドを推したいか、どのステアリングが好きか、というところから入ってもいいレベルになってきています。ダイレクトドライブ業界はかなり競争が激しいので、途中で事業を終了しないような、体力のあるような会社のものを購入しておいたら良いかと思います。各種SIMソフトへの対応や、周辺機器の追加だとか、アフターサービス体制だったりと安心できるかと思います。
もう、特に問題がなくて、FFBのここが足りないとか、こうなったらいいとかそんなコメントは思いつかない程度に、普通に問題ない感じ。テスト期間中、FFBに対しては特にネガティブさを感じることはありませんでした。
もし僕が、今までベルトドライブを使っていたり、3Nmとか5NmのDDを使っていて、いきなりR21Ultraを提供されたら、異次元のトルクと細かな反応に激しく感動するかと思います。しかし、ありがたいことに今までいろんなハンコンを触ってきたので、「普通に文句ない」みたいな感じで、ドライに書いてしまいます。特に文句を言うことがないということで、ポジティブに捉えてもらえればいいかと思います。
いいことばかり書いていると胡散臭くなるので、MOZAのクイックリリースの話を少ししようと思います。MOZAのクイックリリースは、ステアリング側に付属している複数の鉄球を強いバネでホイールベース側の球の溝に押さえつける方式です。
一部のメーカーで採用されている、面で軸と嵌合させる方式と比べると、厳密に言うと金属円柱を加工する際の設計や精度の影響を受けやすい構造になっています。とても気にする人で高トルクで運用するとその差に気づく方もいるかもしれません。少なくとも、僕がこのR21Ultraをテストしている最中には気になりませんでしたが。

旧型MOZA R21に対するぼやき
実は、今回、新型と前世代のものを比較しようと、僕が以前提供してもらった前世代のR21を取り出してきたわけですが、PCをUSB接続した際に認識エラーが出てしまいました。これを改善するためにいろいろとパソコンをいじる必要がありました。最終的には、USBの接続されるように再設定できましたが、多少手間取りました。
これが、MOZA製品のせいだからなのか、何のせいなのかはわかりませんが、すでにあるある?なトラブルらしく、PCにUSBを繋いだら、接続がうまくいかないことと、そのトラブルシューティングも表示されました。(デバイスマネージャーとか触らないといけないので、パソコン苦手な人には大変かも。まぁ、そんな人はPCのレースゲームになんてなかなか手を出せないかと思いますがw)

旧R21ユーザーは買い替える価値はあるのか?
こちらが、一世代前の新バージョンR21の記事です。ファーストインプレッションを書いたのみになっていますね。
すでに違いは感じ取れないと書いたように、個人的には、旧R21ユーザーはR21 Ultraに買い替えたとしても感動は大きくないような気がします。
一方で、R3,R5,R9やR12からのステップアップとしては大いにアリかと思います。R12、R9だともう少しトルクが欲しいなと思っている方もいるかと思いますので、そう言う方は選択肢にあげてもいいかと思います。R16からだと、もし現在の使い方でR16のトルクに不満があれば、といったところでしょうか。
もう一つ上のグレードでパワフルなのR25 Ultraも発売されますが、僕はR21 Ultraのトルクに不満はなく、「R25 Ultraをどんな人に薦めればいいんだろうか?」と悩みながらこの文章を書いています。(R25 Ultraは未使用ですが、R21 Ultraの性能・トルクで十分と感じます。)
R25 Ultraはお金があって、怪力な人が選べばいいんじゃないのかななんて思っているわけです。少なくともR21Ultraも暴力的なトルクは持っていると感じます。
R21 Ultraにおすすめのステアリング
R21 UltraやR25 Ultraのような高トルクのホイールベースでは、以下のようなステアリングの剛性の高いものを選ぶべきかと思います。どのタイプの車を運転するか、あとフィーリングと見た目ですね。
- FSRステアリング:フォーミュラー思考の方向け。
- GSステアリング:GT志向の方向け
- ランボルギーニステアリング:GT志向かつ高級志向の方向け
- RSステアリング:ラリー・ドリフト・実車志向の方。ステアリングフレームを交換すると多様な形状に対応可能
個人的にはFSRまたはRSステアリングの組み合わせがバランス良くおすすめです。KSステアリングは樹脂が多く使用されているため軽量というメリットはありますが、R21Ultraの高トルク下で使うには剛性が気になる人も出てくるかもしれません。またランボルギーニステアリングなんかも、余裕があれば、いいと思います。
気になる点:MOZA R21 UltraのACアダプタは小さい?
最後に少し気になったのがACアダプタについてです。
R21 Ultraのものは前世代R21よりも明らかに小型化されています。今までのものが大きくて重かったので、小型になるのは嬉しいですが、発熱等、今後の耐久性についてどうなのか。そこが気になるところです。過去に日本国内でACアダプタが原因と考えられる電源供給に関するトラブル報告をいくつか耳にしたことがあることがありますので、そのようなことがないように願っています。

左が前世代のR21のACアダプタ。右がR21UltraのACアダプタ。360W電源のようですね。
上記のようなコメントをした際、MOZAの担当者さんから返信をいただきました。
製造元が異なるため外観に多少の違いがございますが、出力性能はすべて同一です。 また、以前報告されていた電源関連の問題についてはすでに改善が完了しており、今後同様のトラブルが発生することはございませんのでご安心ください。
申し訳ありませんが、ACアダプタを分解して中を比較するほどの技術力が僕にはありません(元に戻せなくなったら怖いし)
MOZA R21 Ultraまとめ
- R3〜R12ユーザーのステップアップには最適だと思う。
- R16ユーザーは、もし現状のトルク感に不満があれば候補に入れてもいいかもしれない。(単純にR16のトルクに対して文句がある超怪力な方はR25 Ultraにしておいた方がいいかも)
- トルク・質感ともにR21 Ultraで十分満足できるように感じた。
- R21 Ultraは前世代と比較すると、デザインや取り付け性の向上が見られた。前世代の機種と比較すると、FFB自体の変化を感じにくいかもしれないので、2世代目のR21を持っている人は買い替える必要はないと思う。
とまぁ、いろいろ書いてきましたが、お求めやすい高トルクDDということは確かです。
気になる方があれば、↓ここから買っていただけると嬉しいです。

MOZAさんとしても、このサイトに製品提供すれば売れるとか(全然このサイトからは売れないんだけども)とか、思ってくれて、また製品提供してくれて、このような記事を書くことがで切るかもしれません。
何かの参考になればいいね等いただければ嬉しいです。

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