1. はじめに
今回紹介するMOZA製「CM2ダッシュパネル」は、MOZAより無償提供を受けて記事を書いています。これまで、MOZAより提供された製品の中には、様々な製品があり率直な意見を書くようにしてきましたが、今回の製品に関しては好印象です。


レースSIM用のダッシュパネルですが、現状のSIMの組み合わせに満足していたり予算に余裕がないと導入は後回しになる製品ではないでしょうか?
僕はこれまでダッシュパネルを購入したことはありませんでした。
一部のブランドのホイールベースにはスマートフォンにWifiで接続しダッシュパネルを表示できたりするものもありますし、SimhubなどスマートフォンにURLを入力することで、スマートフォン上にダッシュパネルを表示できることも。そのため、導入の優先順位は低くなりがちです。
このダッシュパネル、買う価値があるのか?本記事では、スペック情報や使用感、さらに感じたメリットとデメリットについて書いていきます。
MOZAの既存のダッシュパネル
既存製品にはCM HD Racing Dashと、RM High-Definition Digital Dashboardの2種類が準備されています。

既存のRMはR16やR21に対応。既存のCMはおそらくR3〜R12まで対応しそう。(R5、R9については探しても互換性についての記載は見つからない。R3とR12については互換性に関する記載は確認できた。v1/v2とバージョンが異なるホイールベースもあり、バージョンによっても異なるかもしれないから、ご自身で確認してください)。互換性の状況については、各ホイールベース公式ページの下の方にあるものもあり。
今回のCM2については、事前の資料によると「Works with all MOZA wheelbase(全てのMOZAのホイールベースで動く)」と記載があります。ケーブルを挿せば対応するのだと思います。取り付けについては、この記事で検証した内容を記載しています。
2. 製品概要とスペックの特徴
MOZA CM2は、MOZA製品に直接接続できるだけでなく、PCにもUSBで直接接続が可能です。そのため他社のホイールベースを使用しながらも導入できます。
以下にその主なスペックと特徴を紹介します。
カスタマイズ可能なダッシュボードUIシステム

MOZAは、専用ソフト「MOZA Pit House」を通じて、独自のカスタマイズ可能なUIシステムを提供しています。プリセットから、ユーザー独自でデザインすることも可能です。
また、MOZAコミュニティプラットフォームを利用すると他のユーザーが作成したデザインをダウンロード・自身のデザインをシェアすることも可能とのこと。このダッシュパネルがどれぐらい普及するかにかかっていますが、ユーザーが増えるとさまざまなパターンのダッシュパネルを気軽にダウンロードできるようになるかもしれません。
CM2がMOZAの専用ソフトでのみ動くことについて
MOZAのCM2を使用しなくても、スマートフォンやSimHubというソフトを使用し、テレメトリーを表示することができます。なので、MOZAのこのディスプレイを導入すべきかどうか?悩む方もいるかもしれません。
MOZAのこのダッシュパネルを購入するメリットはどこにあるのか?と考えた所、ホイールベースまたはPCとの有線接続なので、使用するのが楽という点だと思います。
MOZAのホイールベースにRJケーブルで接続するか、PCにUSB接続し、MOZAのソフト:Pit Houseさえ起動していれば、自動でテレメトリーが表示されます。テレメトリーの内容は、Pit HouseまたはCM2の液晶パネルがタッチスクリーンなので、気軽に変更することができます。MOZAユーザーであれば、SimHubを新たに導入するより楽だと思います。
SimHubは、多数のユーザーがいることで多くのDashのデータが存在します。一方、MOZAのユーザーはSimhubのそれと比べると少ない可能性があります。なので、プリセット以外の一般の有志の方が公開した特定車種のレプリカのようなデザインのダッシュを見つけるのが難しいかもしれません。
自身で、自分のニーズに合ったデザインを作成するのであれば問題ないと思います。
現状、液晶画面のテレメトリーをカスタマイズできるモデルは、VGSステアリングと、ランボルギーニステアリング、そして同時に発売されるFSR2ステアリングだと認識しています。VGSは円形で画面サイズが異なるので、テレメトリーの共有は考えない方が良いでしょう(互いに画面に収まる範囲で、表示は可能)
画面の大きさは異なりますが、CM2とFSR2の解像度はHDなので、デザインを共有できるかもしれません。ランボルギーニステアリングの解像度は不明です。もし同じであれば、ユーザー数が多くなることにより、テレメトリー作成のコミュニティが活発化するかもしれません。

シフトインジケーターとフラッグライト
10個のRGBシフトライトのLEDが上部に埋め込まれています。速度やエンジン回転数に基づいて光ります。6つのRGBフラッグライトも搭載され、16.7百万色以上の発色が可能。リアルタイムのレース信号(例:黄旗、青旗、赤旗)を表示可能。

デザインの話で言えば、以下の旧型のCMディスプレイだと、左右にLEDがないため、枠が大きくスタイリッシュさにかけますが、CM2だと、LEDが打たれており、枠が気にならなくなると思います。

どこ行った!? iRacing自動モード
以前、エンジン回転数に応じてライトの発光タイミングに調べた記事です。iRacingであれば、自動で適切なタイミングで発光するようになるモードがありましたが、2025年1月の時点で、その機能は無くなってしまったようです。
現在、iRacingに限らずどのSIMソフトでも手動でその発光タイミングを設定する必要があり、ある程度の労力がかかるという理解でいます。

720P HDタッチスクリーン
解像度1280×720の5インチディスプレイは、リフレッシュレート60Hzのタッチスクリーンです。鮮やかな発色をしており、近くで見てもドットの境界は認識できません。レスポンスも良く、情報の視認性も優れていると言って良いと思います。

オープンエコシステム
MOZAホイールベースにRJ11ポートを介して簡単に直接接続できるだけでなく、USB-C接続を利用して他社製のホイールベースにも対応可能です。
アルミ製のフレーム
アルミニウム合金製のリアケースと高強度スチール製のマウントが使用されており、質感が高いと思います。冷却性能にも貢献しているかもしれません。
高さ調整可能
MOZAダイレクトドライブホイールベースに対応し、高さを調整できるため、異なる座席ポジションにも適応可能です。

3. 実際に使用して感じた良かった点
Dashの内容をカスタマイズができる
UIカスタマイズは、元々用意されているデザインを利用し、表示の数値の部分だけ変えるだとかすることで、そこまで苦にならないかもしれません。その様子は動画をご覧ください。UIをPCで設定する部分からみれると思います。
幅広い互換性
MOZAホイールベースへ付属のケーブルで接続できたり、USB-C接続を活用することで、他社製品との互換性もあります。先ほど紹介した動画では、他社ホイールベースを使用して運転。SIMフレームにCM2を固定し、テレメトリーを表示しています。
今回、R3,R5,R9V1,R12,新型R21の上部に空いているネジ穴を使うと、CM2を取り付けられることを確認しました。

以下の状態から、高さを調節して、軸の方に画面を近づけることもできます。

ただし、旧型のR16/R21上部にはネジ穴がないため、取り付けることができませんでした。


液晶フィルムが綺麗に貼られていた
製品開封時、液晶用のフィルムがとても綺麗に貼られていて、フィルムが貼られているかどうだかわかりませんでした。そのまま使えます。液晶保護のため、気にならないなら貼ったままの方が良いと思うので、爪で剥がそうとしないように。(もし製品版は違ってたらごめんなさい)

僕は、フィルムが貼られているかどうか確認するために剥がしてしまいました笑
MAPを表示できるSIMソフトもある
今の所、Assetto Corsa Competizioneだけですが、このように1周走るとMAPが表示されます。将来、対応するソフトが増えるかどうか、MOZAがどれだけ頑張るかにかかっています。

特に動作において気になる点はない
iRacingやACをやった限りでは、特に動作において気になる点はありませんでした。iRacingは、シミュレーション中に描写できるパラメーターについて、リアリティを出すために制限がかかっているものもあります。(例えば出走中のリアルタイムのタイヤ温度とか)そのため、iRacingにおいては、他社のSIMダッシュと同様、取得できないパラメーターもあるので注意してください。(導入する際は、調べた上でご購入を)

4. 気になった点と改善案
この弱小コンテンツに製品を継続して送ってもらえるのは、ネタができるのでありがたいと思ってはいますが、忖度せず気になる点も書きます。
USBソケットの位置
USBソケットが右側面に配置されている点は、気になりました。特にドライビング中、右側から伸びるケーブルが視界に入ると気になる方もいるかもしれません。

MOZAユーザーであれば、背面のRJ ケーブル用のソケットを使用するので問題ありません。
背面にソケットがあれば視界の邪魔にならず、より快適に使用できるでしょう。
今更背面にソケットの場所を変更するのは無理難題だと思うので、L字型のUSB-Cアダプターを使用するという方法もあるのではないだろうか?こうすればこのごちゃごちゃした感じが軽減されるのでは?

以上のような感想をお伝えしたところ、現在MOZAはL字型のアダプターの同封を検討するとのこと。本当に同封されるかわかりません。
取り付け金具の設計
付属の金具を使ってアルミフレームに固定しようとしましたが、金具の底面にある穴のサイズが汎用的ではなく感じました。設置の自由度を高めるために、穴のサイズや金具のデザインを見直すと良いかもしれません。(穴を開けることを検討するという返答があったので、もしかしたら製品は大きめの穴も空いているかも)

という、感想を送ったところ、汎用性のある穴を2つ追加で空ける予定とのこと。
さらに、金具を一番下に設定しても、液晶の下部まで土台が十分に伸びない点が少し気になりました。
ダッシュのデザインの充実について
ダッシュのデザインはMOZA Pit House上で可能です。操作はそこまで難しくないと思います。ご自身で、ダッシュの内容をいろいろとデザインできる時間や美的センスがある方は、チャレンジして最適なものも作成できるでしょう。
一方、デザインに自信のない方、時間がない方はプリセットから選んだり、他の方がコミュニティにアップロードしたファイルを使用することになります。プリセットだけで満足できない場合、他のユーザーの熱意とセンス任せになるわけです。
MOZAのCM2がどれだけシェアを伸ばし、ユーザーの中のマニアックな人がダッシュのデザインを作ってくれるか、が、ダッシュのデザインや種類の充実に影響する。そして、それがどうなるのかはまだなんとも言えません。
5. 総評
MOZA CM2は、カスタマイズ性の高さ、液晶の視認性、そしてアルミを多用しているため品質が高く感じます。特に、MOZAエコシステムとの連携できますし、他社製品との互換性があるので、ユーザーを選ばないディスプレイになると思います。
一方で、USBソケットの位置や取り付け金具の設計など、ユーザーの工夫によって解決はできそうですが、サンプル品の段階では気になる点がいくつか気になる点がありました。(本文中に記載した通り、製品版では改良・対策されている可能性があります)
また、プリセットのデザイン以外のテレメトリーのデザインを採用したい場合、ご自身でデザインしたり、他のユーザーがアップロードしたデザインを使用することも可能です。一方で、ご自身でデザインが苦手な方はMOZAのプリセット範囲内で使用したり、他のユーザーがご自身の好みや用途に合ったデザインをアップロードしてくれている必要があります。その充実さはCM2ダッシュのシェアとユーザーの熱意に左右されるため、現段階ではどれだけそのコンテンツの内容が充実するかは分かりません。

動画を見ていただければ、参考になると思います。
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