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FANATECの新型クイックリリース、QR2のレビュー | MASK | ブログ

2023年9月25日月曜日21時30分頃にFANATECのサイトが更新され、新型クイックリリースQR2の発売が開始されました。夜はなかなかログインができず、結局翌日のお昼に購入しました。今回も人柱自腹レビューです。何かの参考になれば嬉しいです。

ステアリング側のクイックリリースはPROと普通のとLiteの3種類。ホイールベース側はType-CとType-Mの2種類があり、どれにすればいいかすぐに判断しづらいです。簡単?にまとめましたのでイマイチどの組み合わせを購入すればわからない方は下の記事も参考にしてみてください。

今回購入したものは、QR2 Base-Side(Type-M)とQR2 Wheel-Sideの2つで計31600円+送料1000円程度でした。

CSL DD/GT DD PROの方なら、ホイールベース側はQR2 Base-Side(Type-C)となり、単品なら11500円です。Type-Mに比べ導入しやすい価格ではあります。

FANATEC QR2まとめ

  • 今回購入したホイールベース側のQR2 Base-Side(Type-M)は、Podium DD1/DD2用のものです。CSL DD/GT DD PROの方はQR2 Type-Cの購入が必要ですのでご注意を。
  • 六角ナットによるボルトの取り付け取り外しができ、配線をそれなりにやさしく扱える方ならホイールベース側もステアリング側もインストール可能だと思います。
  • ホイールベース側、ステアリングともに締め付けのための既定トルクがあります。10Nm、3Nm、1Nm。取り付けはトルク管理をしないといけないので、そこをどうするか注意が必要。この記事では目安の力の掛け方を示しましたが、参考にする際は自己責任でお願いします。
  • ステアリングの金属製QR2は2種類あります。今回購入したアルミ鋳造製のベーシックなもの。もう一つはFIA規格準拠でアルミブロック削り出しのPROモデルがあります。アルミ鋳造製のモデルは外観の黒アルマイト処理の質感がザラザラしているので、高級感は劣ります。一方、PROモデルは金色になり外観もツルツルしています。ただし、クイックリリースの接触面は今回のアルミ鋳造製モデルでもツルツルしており、シミュレーターレーシングにおける機能としては全く問題なく、PROとは大きな差は無いはずです。
  • QR2はスルッとぬるっと、かっちりハマります。そして、ガタのような気になることはありません。ステアリングが軸に直結されているような感じになります。これは、設計変更による軸とクイックリリースとの接触面が増えたことによるものでは?と考えています。
  • QR2においてもステアリングと信号をやりとりするためのピンを差し込むような設計になっています。今回のQR2で垂直にしっかり接合されるように設計され、前回に比べ運転中にピンに負担がかかりにくくなっているのだとは思いますが、今後も長期的に検証してしていきたいと思います。
  • すぐにQR1からQR2にする必要はあるかと言われたら、QR1で問題を感じてないならとりあえずQR1でもいいと思いますが、QR2にするとボルトによる締め付けする必要が全くなくなり利便性が向上したり、剛性感の体感はできると思います。余裕ができたり、2本目のステアリングを購入するときによく考えて、QR1で行くのかQR2に一気に移行するのか判断すれば良いかと思います。
  • もう一つ強化繊維プラスチック製のQR2 Liteがあります。CSL DD/GT DD PROを使用される方は、QR2 Liteについてクラックが入った報告がSNSに上がっていなければ購入に踏み切れば良いかと思います。(Podium DD1/DD2の方はトルクが抑制されるので、金属製QR2のどちらかにした方がいいと思います)

FANATEC QR2 Base-Side

ファナテックDD1(DD2/プレステ向けDD1:PODIUM RACING WHEEL F1)を持っている方用のホイールベース側(Type-M)になります。

QR2 Base-Side (Type-M)
QR2 Base-Side (Type-M) ビレットアルミニウムの単一ブロックから完全にCNC加工されており、Podiumホイールベースアップグレードし、対応したQR2搭載ステアリングホイールの使用を可能にします。

CSL DD\GT DD PROの方は、QR2 Base-Side (Type-C)が必要になります。

QR2 Base-Side (Type-C)
QR2 Base-Side(タイプ-C)は、Gran Turismo DD ProまたはCSL DD Wheel BaseをQR2にアップグレードし、互換性のあるQR2対応ステアリングホイールを使用を可能にします。

FANATEC QR2 Wheel-Side

今回、私が持っているFormula V2、BMW、GT DD PROにそれぞれ装着予定のQR2 Wheel-Sideです。真ん中のグレードで、標準タイプのような位置付けかと思います。

QR2 Wheel-Side
QR2 Wheel-Side は、頑丈で耐久性のある全アルミ製の構造を備えています。ダイキャストアルミニウムでCNC加工され、ブラックアノダイズ仕上げが施されています。

他にもPROとLiteがありますが、PROはアルミブロック削り出しされ表面処理が施されています。シミュレーターレーシングにはオーバースペックな気がしますが、見た目が綺麗なのとFIA準拠になります。Liteは安いもののの、材質が強化繊維プラスチックということで、DD1/DD2高トルクモード使用不可とのことです。今回は無難なアルミ鋳造物の真ん中のモデルにしています。

CSL DDやGT DD PROなら高トルクモードについては関係ないので、数ヶ月経って特に不具合報告が出てこなければLiteでもいいかもしれません。それより前に欲しいなら、金属製のQR2が無難だと思います。

FANATEC QR2の開封

今回、新たな試みでしっかり動画を撮りながら開封、レビューをする予定です。QR2を早く使いたいのに、やることが多く、開封するのがかなり億劫です。

開封です。まずはQR2のステアリング側(左側)から。

QR2本体と付属品、取説が付属しています。取説は図を見れば理解できるような作りになっています。各QR2の公式ページの「ダウンロード」タブをクリックし、「QR2 Wheel-Side Quick Guide」を選択すれば見られます。

QR2 Wheel-Side本体ですが、アルミ鋳造モデルを購入しました。その外周表面ですが、QR1の塗装に比べるとザラザラした加工処理(ブラックアノダイズ処理=黒アルマイト処理)になっています。

さらに単品価格16000円アップの31600円のもの↓にすると、アルミ削り出しボディになるためツルツルした触感になるかと思います。

QR2 Pro Wheel-Side
QR2 Pro Wheel-Sideはビレットアルミニウムからの完全なCNC加工パーツを備え、実際のモータースポーツ要件を満たすために開発されました。

もちろん、今回私が購入した標準タイプでもクイックリリース部分の接触面の表面はツルツルに加工されており、QR2の軸の部分を削るようなことは無さそうです。

付属品は、六角レンチがなんと3本入っています。そして、青いトルクスドライバー1本、ボルトが4本付属しています。

こちらはホイールベース側です。アルミブロックから削り出された軸が美しく感じます。単品だと23700円もしますが。

DD1&旧型QR1の弱点

Podium DD1/DD2に対して

FANATEC Podium DD1/DD2のクイックリリースは、面白い仕組みのロック機構が搭載されています。

ステアリングを挿入した後、ダイヤルをステアリング側に向かって締め付けると、軸上のゴムがそのダイヤルによって押さえつけられます。その結果、軸の円周方向に、ゴムがクイックリリースQR1に押し付けられるわけです。そのゴムの押し付ける力により、Podium DD1の接続されたステアリングは(当時としては)しっかり固定されます。さらに、軸の下部にはボルト用の穴が空いており、ステアリング側クイックリリースを軸にボルト締めできるようになっています。

金属加工の世界で、ちょっとエッチな「はめあい」と言う用語があります。

穴に円柱上のものを挿入しようとすると、穴は円柱より少し大きくなければなりません。このような状態の「はめあい」を「すきまばめ」と言います。

FANATECのQR1は、まず軸を5つの金属の球で挟み込み、さらにホイールベースの軸とステアリング側の小さな「すきま」をゴムを充填することによって克服するという選択に出ました。

Podium DD1が発表された2018年当時は、シミュレーターレーシング界隈ではPodium DD1やDD2のようなダイレクトドライブの強力なホイールベースの競合は少なく、当時としては画期的だったことが想像できます。

このDD1/DD2方式の弱点は、使い方を理解せずにこのロック機構を使用しなかったり、うっかりロック機構の使用を忘れると、その小さな「すきま」にゴムが充填されなくなります。5つの金属球がバネの力により、軸を押さえつけますが、DD1/DD2のトルクは最大20Nm/25Nmと強力になるので、設定によってはそのバネの力に打ち勝って、ガタガタと小さく動いてしまいます。

そのまま気づかずに使用していると、違和感を感じたり、ステアリング側についてある13本のピンに対して何度も繰り返しの力が加わるわけです。小さな力でも繰り返されると金属疲労により破断する可能性があります。

参考情報:QR1は、DD1のフルパワーのかなり重いトルクをかけて、戻したときにカチンと音がすることがありました。これは、中の鉄球が微妙に押し上げられ、トルクが無くなったときにバネ力によって元の位置に戻るからなのかな?と思っていますが、グリスを塗ると音が鳴らなくなったりします。いろいろなSIM屋さんを回ってみた感じ、そんな大トルクをかけているようなところはありませんでした。20Nmクラスで最大トルクなんかかけてたら、手アンダーで、カーブが曲がり切れないので、いいことはないと思いますが…。

<後日談>「FANATEC Formula V2ホイールから異音が聞こえたのでFANATECのサポートに連絡してみた話」のその後|MASK
2月にこんな記事を書きました。 簡単に言うと、自分のFANATECのFormula V2ステアリングに強いFFBがかかるとカチッという音がするというものでした。下のTwitterの動画で音が聴けます。 上の記事にも書いてあるんですが、 FANATECより、 グリースを塗ってみたら改善するかも。工場に送ってくれてもいいよ...

CSL DD/GT DD PRO/CSWにQR1を使用していた場合

下の写真はGT DD PROの軸の部分の写真です。

Gran Turismo DD Pro Wheel Base (8 Nm)
Gran Turismo® の公式レーシングホイール。 PlayStation®5のパフォーマンスとFANATEC® ダイレクトドライブ テクノロジーを組み合わせることで、最もスムーズでダイナミックなフォース フィードバック感覚を実現しています。Boost Kit 180が含まれています!

CSL DDやGT DD PRO、CSWは最大トルク8Nmという性質上、QR1の軸部分にはDD1/DD2に使用されているゴムを押し付けるようなロック機構はついていません。上部の溝に沿ってはめ、QR1の5つの鉄球がバネの力で軸を押さえつけ、それで固定完了となります。

QR1は金属を加工した製品ですので、個体によっては、軸とステアリング側のQR1との間のすき間ができる組み合わせがあると思います。基本的には、そのQR1はめ込みと5つの金属球を押さえ付けるバネ力で保持する設計になっていますが、その隙間が大きくなり、軸とステアリング側QR1とが動いていた場合は、ステアリング側のピンに負担がかかります。

なので、FANATECは基本不要と取説には書いていますが、ステアリングと軸とをボルト締めしておくとピン折れのようなトラブルは普通は起こらないのではと思います。QR1の軸の下側にボルト用の穴があります。

ただし、リスク回避のためにボルト締めすると「クイックじゃない」クイックリリースになってしまうのは、新興勢力と比較すると、なんだかなぁと思う方もいるかと思います。

※CSWは、QR2非対応です。

QR1 Liteを使用していた場合

QR1 Liteはホイールベースの軸側は金属ですが、ステアリング側は強化繊維プラスチックです。この強化繊維プラスチックは、例えばGT DD PRO付属のグランツーリスモ用専用設計ステアリング(以下GT向けステアリング)に使用されています。GT向けステアリングを含め私は2個ほどQR1 Liteが付属しているステアリングを使用しました。

GT向けステアリングについて、↓私のレビュー記事においても、QR1 Liteの問題点を記載しています。私のステアリングは8Nmのトルクをしっかり受け止めることができずに、軸の動きの後にわずかに遅れてステアリングが動くことが確認されました。

子供のおもちゃだったらそれでいいのでしょうが、よりリアルな感覚を得るためにダイレクトドライブを購入したのに、それだとダイレクト感が薄れますし、前述のピンへの負担が気になるところです。軸側に少しテーピングをして隙間を無くすという対策をしたらそのような不自然さはなくなりましたが、おもちゃとしてならありですが、大人の趣味の道具としては、少なくともオプション品で売られているQR1にアップグレードしたくなると思います。

QR1 Wheel-Side
以前はClubSport Quick Release Adapterとして知られていたQR1 Wheel-Sideにより、交換可能なクイックリリースを備えた互換性のあるステアリングホイールをQR1を装備したホイールベースで使用できます。

2021年以降、ダイレクトドライブハンコン市場が活性化

2021年にFANATECのCSL DDを発売後、その後既存のハンコンメーカーがそれに追従していました。新興メーカーは、既存ハンコンの弱点を補ったような商品も出してきています。

例えば、クイックリリース部分の球の数がFANATECが5個に対し、MOZA等、10個の鉄球を使用したクイックリリースを使用した製品も出しています。MOZAのクイックリリースはボルトを締め付けるような機構はありませんが、旧式QR1を装着したFANATECと比べても、剛性感が高いのがわかりました。

FANATEC公式Youtubeを見る限り、Podium DD1/DD2は2018年の7月には発表されていたようです。QR1導入当時は、CSLやCSWで使用されそれでも良かったんでしょうが、Podium DD1/DD2を導入してから気づいたのでしょうか?

FANATECの新製品が発表されました|MASK
CET pm4:00:日本時間の0時から始まったBMW SIM LIVE 2020というYoutube番号みの中で、FANATECの新製品が発表されました。 その内容をご紹介します。 BMWレースカーの登場 降りてきたドライバーが実車からステアリングを脱着。 それをFANATECのPodium DDに取り付け。 Pod...

FANATECはQR2を使用したBMW M4 GT3ステアリングを2020年12月に発表。よくよく見てみると、その時からQR2を装着しているようです。QR2が発売されたのが2023年9月25日ですので、BMWステアリングを公表してから3年弱経つわけです。ということは、長期間いろいろとテストされていることを期待し、初期ロットではありますが、下記組み合わせの製品を今回購入しました。

QR2 Bundle (Type-M)

FANATEC QR2(M Type) ホイールベース側の取り付け

QR2(M-Type)の取説はQR2 Base Side M 公式ページの「ダウンロード」をご確認ください。

ここで気をつけないといけないのが2点です。

・配線を傷つけない。

・10Nmのトルクで締め付ける。

FANATEC Podium DD1の分解

Podium DD1の軸を締め付けている黒い金具のボルトを緩めます。これはQR2付属の工具で対応可能です。黒い金具は2本のボルトで固定されていますが、1本のボルトを緩めるだけで大丈夫です。

Podium Wheel Base DD1 QR2

(現在販売されているDD1はすでにQR2が取り付けられているバージョンのみが販売されています)

ゆっくり金色のQR1を引き出すと、ぐるぐる巻きにされたケーブルが確認できます。

Podium DD1(DD2)内のコードはぐるぐる巻きにされています。これは、もともとそのように設計・取り付けされているもので、皆さんがステアリングをぐるぐる回転させたから中でぐるぐる回転してねじれてしまったわけではありません。

ステアリングを回したとき、ケーブル類は軸とともに回転しますので、ステアリングを一方向にいくら回転させたからといって断線することはありません。

このぐるぐる巻きのケーブルをほどくためには、約10回転逆方向にQR1を回転させながらゆっくり引っ張っていくと、ケーブルが真っ直ぐになります。

このように2本のコネクタが現れてきますので、それぞれの接続を外します。それぞれ爪でロックされているので、それを解除しながら引っ張る必要があります。

すると、QR1が取れるわけです。

個人的には、やり方知っていれば5分もあれば取り出せるかな?という感じでそこまで難しいとは感じませんでしたが、こういうのが好きじゃない人は苦痛かもしれません。

FANATEC Podium DD1へQR2(ホイールベース側)の接続

QR2のケーブルを逆の手順で、接続します。QR2の短いケーブルはPodium DD1から出てくる長い方のケーブルへ、QR2の長いケーブルはPodium DD1の短いケーブルに接続します。

そして、10回転ぐらいぐるぐる回しながらケーブルをまとめつつ、押し込んでいきます。

そのまま、ホイールベース側にゆっくり差し込んでいきます。これも、力がいるわけでもありません。

Podium Wheel Base DD1 QR2

注意点としては、黒い金具については、ホイールベース側に押し付けすぎると、ステアリングを回した際、ホイールベースと黒い金具が擦れてしまい、不快に感じるのでQR2に接触するまで持ってきます。

この下の写真の位置が正しいです。

この下の写真の位置では間違いなので、注意してください。

QR2をしっかり挟むため、ホイールベース側の軸の切れ込み部分と、黒い金具の切れ込み部分を平行にピッタリ合うようにします。

このとき、QR2本体の向きも説明書通りにしておいた方がインストール後、かっこよくなります。QR2の向き自体は多少ずれていても、FANATECのドライバ側のキャリブレーションで中心を合わせられるので実は問題ありません。

ここまで位置合わせをしたら、取説記載の10Nmで締め付けなければなりません。

ここで、困ってしまう人が多いのではないかと思いますので、10Nmについて、書いておきます。

一言で言えば、付属のレンチが10cmなので、その一番端っこで10kgの力をかければ約10Nmです。

2つボルトがあるので、両方同じような力で締めてあげたらホイールベース側完成です。

FANATECが要求する10Nmとはどれぐらいか?

もしあなたが六角レンチを持っていたとして、ボルトから10cm=0.1mのところで、地球上で10kg=98Nの力をかけてもらえれば、98N x 0.1m = 9.8Nm(約10Nm)となります。

10kgはどれぐらいだ?という方、体重計を指で押してみて感覚を掴んでみたら?と思います。

また20cmの六角レンチがあれば、20cmのところに5kgの重さをかければ10Nmになります。

トルク警察の方がいたら怖いので、私が感覚でやったのか、トルクレンチを使ったのかここでは書きません笑
とりあえず、ボルトから10cmのところで10kgの力をかけたら、ほぼ10Nmです。

こういうトルク管理機能付きの六角レンチもあります。下記の商品は10Nmまで使用でき、原始的な構造のため、リーズナブルだと思います。

注意!
下記写真も含め情報提供をしていただいたのですが、このトルクレンチは、DD1/DD2やGTDDPRO/CSLDD側のボルトは締められるけれども、ステアリング側に使用しようとすると、ボルトにアクセスできず物理的に使えません。本当に3Nmで管理したいのであれば、何か工夫が必要になります。Amazonで探す限り、リーズナブルにここにアクセスできて3Nmを管理できる工具は無さそうです。次の項目で3Nmをかける方法を書いておきましたので、参考にしてください。

FANATEC QR2ステアリング側の取り付け

私の経験をもとに取説の補足もしながら、書いていきたいと思います。取説については、QR2 Wheel Sideの公式サイトの「ダウンロード」ページから見られます。

まず、少しあたまを悩ます絵がこちらです。これは、ステアリングを初めて買った人向けだと思いますが、

(左)クイックリリースが全くついていない新品のステアリングを購入した方は、まずはピンの保護キャップを取ってください。

(右)すでに旧式のQR1が付いている場合はボルトを取り外してください。

と言うことだと思います。

ということで、QR1のボルトを取り外しています。

多少固かったとしても、クイックリリースとステアリング部分は接着剤で固定されているわけではないので、ボルト取り外し後、QR1を引っ張れば外れます。

その後、また少し難解な図が笑

私のFormula V2ステアリングのように、端子のピン周りに使用されているスペーサー部分に金属の薄い板が使われているステアリングがあります。これはおそらく金属製QR1がついたステアリングだとそうなっていると思います。(QR1 Liteが使用されているグランツーリスモ用のステアリングの場合はここがすでにプラスチックでした。その場合は、この作業は不要になります。)

まずは、既存のボルトを付属の4本の六角レンチで外します。とても軽い力で緩みます。

すると、薄い金属のプレートを外すことができます。

そして、その代わりに、新製品に同封されているプラスチック製のスペーサーを、新製品に同封されているボルト4本を使用して、固定することになります。

付属のボルトの穴は、星型のトルクスネジなので、同封されている専用のT10の青いドライバーを使って締め付けます。ここで注意すべきが、「1Nm」というトルク制限です。

先ほど、10Nmの説明をしましたが、素材がプラスチックですし、1Nmについては指先だけを使用して固くなる程度に締め込める程度でいいのでは?と思っています。が、気になる方はトルクレンチを購入するしかありませんが、1Nmのものは高価なものが多い印象。先ほどの↓10Nmがわかるトルクレンチは3Nmから10Nmまでしかわからないので、ここでの使用はできません。

最後に、QR2の金属部分をステアリングに接続します。

ここでもトルクの表記が出てきました。3Nmという表記です。10cmの六角レンチの端に3kg程度の力をかければ約3Nmです。

また、QR2には上下がありますが、逆に取り付けようとしても装着できないのですぐわかると思います。

ということで、ボルトを挿入して3Nm程度で締めて完成です。

上からだとこんな感じ。

FANATEC QR2レビュー

FANATEC QR2の接続

ホイールベース、ステアリング両方にQR2を組み付けることができました。これでやっとQR2のレビューができます。

まず、初めてクイックリリースを使ってみました。かなり軽い力でスルりと入ります。

どれだけ軽いかというと、片手でグリップを持っているだけでも少し力を込めると挿入できます。左手でスマホを撮影しながら右手で挿入できるぐらいです。そして、入っていく時は吸い付くような感じです。軽く入る割には、どれだけ引っ張ってももちろん抜けません。とても不思議な感覚です。さすがに数年間も発売しなかっただけあって、ストレスフリーです。(旧型QR1から取り外したりQR2を付け替えたりしてここまでくるのは大変でしょうけど・・・)

最後まで押し込むと、バネの力で二つの棒が溝にはまるわけですが、すごいソフトな音でハマります。

Podium Wheel Base DD1 QR2

ステアリング装着時、するりと入るのは、ホイールベース側QR2表面と、QR2ステアリング側の接触面がツルツルに加工されているからだと思います。

この装着感を維持するためでしょうか、ホイールベース側の取説の図ですが、100回装着したら綺麗な布か何かで拭いてねと書かれています。

FANATECステアリングのピンについて

QR1時代は、FANATECのステアリング側の端子のピンが折れたという方がたまにSNSに情報をあげていました。今回QR2となり、運転中に無理な力がピンに加わることはかなり少なくなったのでは?と思います。

ただ、ピンがあることは事実で、そこに想定以上の力が加われば曲がったり折れたりすることもあると思いますので、取り扱いにはご注意ください。

また、取り付ける際、ステアリングのピンに対してどういう刺さり方がするのか?ということも気になっています。いろいろな角度から差し込んでみたり抜いたりしてみたりしましたが、抜いた後のピンは変な向きになっていません。差し込む直前にステアリングとホイールベースが垂直になるようになっているのだと思いますが、もうちょっと内部の寸法を計測して、どうやってピンが入っていくのか、検証・確認していきたいと思います。

FANATEC QR2にガタはあるのか?

QR1だと、軸先端の金属、5つの鉄球、一部ゴム反発力でQR1を保持していましたが、遊びをゴムで支えている分、多少動かそうと思えば動くような状況でした。本当にホイールベースに直結したようなフィーリングを求めるような方にとっては気になっていた方もいるのかもしれません。

とりあえず、今回Podium DD1向けに導入した下記セットについてはガタは全くありません。(CSL DD/GT DD PROの方はホイールベース側はType-Cモデルの導入が必要です)

QR2 Bundle (Type-M)

ステアリングを左右上下に押し込んでもクイックリリース部はびくともしません。QR2については今回は金属と金属の表面の接触、棒2本でどうしてここまでできるのだろうと不思議に思います。こうなるとステアリングの剛性や、コクピットの剛性が気になってくるレベルになると思うので、QR2を導入される方はその良さを感じるために剛性の高い素材が使用されているステアリングを選択し、コクピットも頑丈なものにしていくとより楽しめると思います。

QR2はどれぐらい互いの表面積が接しているのか?(マニアック)

今から、算数をしますが、一番大事なのは機械の工作精度になりますので、あくまでも参考にしてください。ここで計算して高い接触表面積が出ても、クイックリリースの工作精度が低ければ全く意味がありませんが、QR2どうしが接触する表面積はかなり広そうです。

FANATEC QR1の接触表面積

QR1が直径3.8cm・奥行き4cm(金属部分2.4cm、1.6dmゴム部分)でした。

かっちり感を出せるのは金属部分しかないと考えて、本当に単純に全てが接触しているとすると
金属部分は28.6[cm2]。

ちなみにゴム部分は19.1[cm2]

FANATEC QR2の接触表面積

QR2については、4cm x 4.4cm、4辺のR=1cm、奥行き3.4cmを全て面で捉えているとすると、{(4[cm]+4.4[cm]-1[cm]*4[辺])x2+2[cm]x3.14}x3.4=51.3[cm2] ←①
更に左右2本の直径0.5cmの円柱が押さえつけるわけですが、見た感じ少なくとも円周の1/4程度接していそうな気がします。だと仮定すると、0.25[cm]*0.25[cm]*3.14*1/4*4.4[cm]*2[本]=0.56[cm2] ←②

①と②を足すと、51.3+0.56≒51.8 [cm2]ぐらいが接していると言うことに。QR1から大きく向上しています。

某他社のクイックリリースの接触表面積

ちなみに、他社の某クイックリリースを確認すると直径41mmで奥行き25mmなので、4.1×3.14×2.5=32.2cm2
それに加え直径約8mmぐらいの鉄球10個が3mmぐらい、軸の窪みを押さえつけます。それも計算にいれると

0.8cmの球の表面積が2.56cm2。接しているところはだいたい球の1/3〜1/4ぐらいっぽいので、

2.56×1/4×10=6.4[cm2]

ということで、クイックリリース部分 は38.6[cm2]ぐらい、接していそうな気がします。確かにQR2よりは表面積は少し小さくなっていますが、どれだけ押さえつけるのかも大事だと思うので、何がいいとかは何とも言えません。

FANATEC QR2の取り外しについて

QR2は、出っ張りを手前に引っ張ってやれば、2本の支柱が動き、ロックが解除され、スルリとはずすことができました。

ただし、このレバーを引っ張る際、鋳造のザラザラした表面同士が接触しながら手前にスライドすることになり、ザラザラとした感触があります。

これは、QR2の軸との接触面とは関係ない場所なのでドライビングには全く影響を与えないかと思いますが、ヌルヌル・スルリな感じが好きな人にとっては、気になるポイントかもしれません。富豪の方はPROを選択して気持ち良くなれば良いかと思います。

QR2 Pro Wheel-Side
QR2 Pro Wheel-Sideはビレットアルミニウムからの完全なCNC加工パーツを備え、実際のモータースポーツ要件を満たすために開発されました。

まとめに入る前に

QR2の設置と、実際に遊んでみた光景を動画でまとめてみました。ついでにチャンネル登録してもらえると嬉しいです!

もしよければXにいいね!いただけると喜びます。

FANATEC QR2まとめ

  • 今回購入したホイールベース側のQR2 Base-Side(Type-M)は、Podium DD1/DD2用のものです。CSL DD/GT DD PROの方はQR2 Type-Cの購入が必要ですのでご注意を。
  • 六角ナットによるボルトの取り付け取り外しができ、配線をそれなりにやさしく扱える方ならホイールベース側もステアリング側もインストール可能だと思います。
  • ホイールベース側、ステアリングともに締め付けのための既定トルクがあります。10Nm、3Nm、1Nm。取り付けはトルク管理をしないといけないので、そこをどうするか注意が必要。この記事では目安の力の掛け方を示しましたが、参考にする際は自己責任でお願いします。
  • ステアリングの金属製QR2は2種類あります。今回購入したアルミ鋳造製のベーシックなもの。もう一つはFIA規格準拠でアルミブロック削り出しのPROモデルがあります。アルミ鋳造製のモデルは外観の黒アルマイト処理の質感がザラザラしているので、高級感は劣ります。一方、PROモデルは金色になり外観もツルツルしています。ただし、クイックリリースの接触面は今回のアルミ鋳造製モデルでもツルツルしており、シミュレーターレーシングにおける機能としては全く問題なく、PROとは大きな差は無いはずです。
  • QR2はスルッとぬるっと、かっちりハマります。そして、ガタのような気になることはありません。ステアリングが軸に直結されているような感じになります。これは、設計変更による軸とクイックリリースとの接触面が増えたことによるものでは?と考えています。
  • QR2においてもステアリングと信号をやりとりするためのピンを差し込むような設計になっています。今回のQR2で垂直にしっかり接合されるように設計され、前回に比べ運転中にピンに負担がかかりにくくなっているのだとは思いますが、今後も長期的に検証してしていきたいと思います。
  • すぐにQR1からQR2にする必要はあるかと言われたら、QR1で問題を感じてないならとりあえずQR1でもいいと思いますが、QR2にするとボルトによる締め付けする必要が全くなくなり利便性が向上したり、剛性感の体感はできると思います。余裕ができたり、2本目のステアリングを購入するときによく考えて、QR1で行くのかQR2に一気に移行するのか判断すれば良いかと思います。
  • もう一つ強化繊維プラスチック製のQR2 Liteがあります。CSL DD/GT DD PROを使用される方は、QR2 Liteについてクラックが入った報告がSNSに上がっていなければ購入に踏み切れば良いかと思います。(Podium DD1/DD2の方はトルクが抑制されるので、金属製QR2のどちらかにした方がいいと思います)

FANATEC QR2の公式サイト

QR2
私たちのコンフィギュレーター

コメント

  1. M-power より:

    いつも情報ありがとうございます。
    今回の情報を参考にして、Type-Cの取付交換作業を行いました。
    DDPROはType-Mとは異なり、ホイールベース側はUSB-Cだったので、抜き差しは簡単でした。QR2を差し込む際も、切り込みにぴったり合うので、差し間違える心配もない感じでした。
    QR2に変えてステアリング交換は、QR1と違いカチーン、ガシャーンがないので心配になりましたがガタもなくとてもしっかりとはまってる気がしています。