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2023年8月となりました。私が2020年8月にこんな記事を初めて投稿してから3年が経過しました。
最近、いろんなハンコンをレビューする機会があったため、私が2021年の頭に購入したFANATEC Podium DD1&Formula V2バンドルをたまにしか触れられていませんでした。(ハンコンを付け替えるのが大変で…。)
※私がそのセット商品購入後、ステアリングがV2→V2.5にバージョンアップされ、そのセットの内容も下記のようなものに変化しています。(日本ではあまり意味がない話かもしれませんが、Formula V2.5Xの「X」はXboxに対応している、という意味で、下記のステアリングを使用するとFANATECのハンコンは、XBoxにも対応します。)
当時、↓こんな理由でこのセット商品を選んだようです。
その私が選んだファナテックのセットですが、改めてiRacingで長期的に活用するためにPodium DD1とFormula V2ステアリングの組み合わせを選定・装着しました。
私が確認した限りPodium DD1は2018年から存在しているので、最近出てきている新製品のダイレクトドライブホイールベースに比べると設計が古く気になる点があるものの、現在でも十分楽しめる商品だと思いました。
改めてその感想を長期レビューという形で書いてみたいと思います。
Podium DD1は、販売開始が具体的にいつかは調べきれていませんが、
FANATECのYoutubeを見ると、2018年7月にお披露目されています。
FANATEC Formula V2.5Xステアリングの良さ
私が所有しているのは見た目はほぼ同じの一つ前のモデルであるFormula V2です。単体で購入した場合、上記のV2.5との大きな違いを書くと下記のようになります
・V2.5ではパドルがアップグレードされている
・V2.5では、将来、新型クイックリリースシステムが発売された場合は搭載できる(旧型も、もしかしたら搭載できるかもしれないが)
27cmという小径なステアリングなので、フォーミュラやGTカーを運転する時において、ホイールベースから発生するFFBをダイレクトに伝えてくれます。これは、直径が小さい方が、FFBがかかる際に腕で軸を保持するための力、軸を回す力が必要になるためです。
FANATECのPodium DD1は最大20NmのFFBが発生するため、その重さやFFBの変化の鋭さを直径が大きいGTステアリングやラリー用の円形のステアリングより重く感じることができます。
ステアリング自体も1.25kgとFANATEC内の製品や他社製品に比べると比較的軽量なので、ホイールベースから発生するFFBがより腕に伝わりやすくなります。
Formula V2やV2.5, 2.5X, F1 Esports V2については、ステアリング内部に2個の振動モーターが付いています。そして、エンジンの揺れ等に応じて振動を発生することができます。その振動は、僕のコクピットでは、なぜかコクピットを介して、バケットシートを共振させるので、体全体が振え、結構臨場感が高まり面白いです。
DD1は高価なため、購入するのは勇気が入りますが、最大8NmにできるCSL DDのセットが現在かなり安くなっているので、それに組み合わせるステアリングとして、アリだと思います。
FANATEC Advanced Paddle Moduleの良さ
上記で、磁気製のパドルがいいと、書きましたが、このAdvanced Paddle Module(直訳:先進パドル部品)というのは、複数のパドルを追加できるオプション品です。(装着できないステアリングもあるので購入する際は適合情報を確認ください)
このFANATEC DD1とFormulaV2.5Xのセット商品に元から含まれています。
先ほど挙げた磁気製シフトの感触そのままに、左右2つづつ計4枚の磁気製シフトと、左右1つずつ計2枚のアナログシフトが付いた製品がAdvanced Paddle Moduleです。
レースSIMをする上で、一番触るボタンはシフターだと思います。
その感触がとてもいいです。これはFANATECの磁石が使用されているパドルシフト全てに言えます。
ギアを変えるためにパドルを引くと、バネと磁石の反力が働き、押し戻そうとします。それに抗って、シフトチェンジのためにパドルを引くことになります。接点を叩いてシフトが変わればすぐ指の力を緩めるわけですが、バネ単体のパドルに比べ、磁石との相乗効果で即座に元の位置に戻ります。適切な厚さのゴムが適切な位置に貼られているため、接点を叩く際と戻る際に気持ち良い感触で、ソフトな音が鳴り、心地が良いです。
それによってタイムがめちゃくちゃ上がるわけではありません。ですが、とても気持ちよくなります。
上記の標準の磁石が使用されているパドルについては、BMW V2ステアリングの感覚も良かったですし、同様のパドルを搭載しているFormula V2.5ステアリング、RSステアリング, ユニバーサルハブV2等の磁気製パドルも気持ち良いと思います。
アナログパドルは左右の一番下についているわけですが、これはパドルクラッチとして使用して、F1カーのスタートを模擬体験できます。スタート直前に全てクラッチを切っておいて、グリーンシグナルになった途端、クラッチをある程度の位置まで持って行き、その後全てつなぐ。そうするとライバルよりスムーズなスタートができます。と言っても、3ペダルあればペダルのクラッチで同じことができるので、速さには直結するわけではないんですけどね。ワクワク度を上げるアイテムです。
FANATEC Podium DD1の良さ
走行しながらステアリングでFFB、舵角、減衰力、ブレーキ等のパラメータを操作可能な便利さ
FANATEC製品全てのホイールベースやステアリングに言えますが、ステアリングに小さな液晶画面があり、ステアリング上のボタンとロータリースイッチを使用することで、走行中であってもFFBのパラメーターを自由に変更することができます。
これは、あるのと無いとでは全然便利さが異なります。例えば舵角ですが、新しいコースであったり、新しい車でセッティングを出そうとする時に、コースの中で一番きついコーナーを曲がる時、大きくステアリングを切らないといけない場合、腕をクロスさせたりステアリングを持ち替えたりして、無理が生じたり不快感を感じることがあります。実車なら人間が車に合わせることがほとんどだと思いますが、手元で「SEN」(Sensitivity)のパラメータを操作するだけで、そのステアリングの効きを簡単に変えられます。
また、「FF」(FFB Strength)のパラメータを操作するとFFBの力を手元で変更することができます。FFBを強くするとハンコンの反応速度を上げることができ、車が不安定になった際、セルフステア(車が前を向いて安定させる)傾向を強めることができます。ただ、その分通常のカーブを曲がる際もステアリングが重くなるので、レース等で長く集中して走る必要がある際は、最適な重さに適宜調整する必要が出てきます。それが走りながら手元ででいるのはありがたいと思います。
こんな感じで、いろいろなパラメータを走行中に手元で操作できるのはありがたいシステムです。
最大20Nmの高トルクは走りが安定しやすい
20Nmのダイレクトドライブは、ハンコンの中でもかなりパワフルな部類に入ると思います。スピンしそうになってもセルフステア(ステアリングが中心に戻ろうとする力)が強力に発生するので、ラップタイムが安定しやすいです。(練習しないとしっかり走れませんが)
軸が必要十分な太さなため、モニタの位置を攻められる
軸が太すぎないため結構モニタをステアリングに近づけることができます。
再認識したFANATECの要改善点
Podium DD1は、iRacingにおいては縁石を踏んだことによる振動や路面の起伏に対する表現が薄い
アセットコルサではDD1は十分豊かなFFBを提供してくれますが、iRacingにおいては路面の情報の表現が少ないように感じます。
パラメータである、「INT」(FFB Interporation Filter:FFB補完フィルター)を下げていくと、微細な入力に対するFFBがスムージングされず増えていきますが、解像度が薄いガサツな印象になります。
ガサツな感じを消しつつ、入力量も減らさないためほんの少しINTをあげています(INT=1or2)。
この路面の起伏を捉えることについては、最近ダイレクトドライブを出してきているMOZAの方が上手に感じます。
iRacingに限ってですが、FANATEC DD1の弱点だと思います。
Formula V2のグリップ部を強く握るとプラスチックから音が出る
初めの一握り目、グリップのどこかから「ギュッ」っと音がします。
これが、ステアリングの質感を下げています。
※私のステアリングはV2バージョンであり、現行のV2.5は、パドルがアップデートされています。
V2.5でも傾向は変わっていないと思いますが、念の為。
FANATECの金属製クイックリリースについて
Q.金属製クイックリリースの剛性はどう?
A.普通に使用する限りだと何も感じない。気にならない。
極端な使い方をすると、クリック音がしたりすることがあった。
自分が速く快適に運転できるレベルにする限りだと、そんな極端な使い方にならず、クリック音は発生しない。
ステアリング裏側に付属のボルトで、ホイールベースの軸とステアリングを固定する機構がある。またロック機構もあるので、その二つを併用するとそこまで問題には感じなくなる。
ただし、最新の他社モデルのハンコンのガッチリしたクイックリリースだと、そういうボルト締めしなくてもしっかりしたようなモデルもある。
Q.新型クイックリリースはいつ出るの?
A.僕は製品の1ファンなので、何にもわかりません。でも、さすがにそろそろ出そうな気がします。FANATECは11月末のブラックフライデーの前後とかに大きな発表をしている傾向があるように感じるので、その辺りなんじゃ無いかと思っていますが、思っているだけです。
2023年9月29日追記
QR2、発売されました。
Q.その他気になる点は?
A.クラッシュ時等ステアリングが激しく左右に揺さぶられる時、クイックリリースのリング部分(下の写真で言うところの赤い部分)が時計・反時計方向に回転することで、ホイールベースにステアリングを固定する用のボルト(下の画像のど真ん中のボルト)とぶつかりカチャカチャ音が出て、質感を下げています。このリングの部分をテーピングして左右に動かなくしたら鳴らなくなりますが、初めから鳴らないに越したことはありません。
そろそろ比較的リーズナブルな光り物のステアリングが欲しい
普通に使用する分には、液晶パネルや光るスイッチなんて必要ありません。本当に。
ただ、SNSに動画を上げる場合は、周囲を暗くして足元の配線だとかを闇に葬り去った状態で投稿した方が、実車感が出ます。
部屋を暗くしてそのまま全体を撮影すると、ステアリングも真っ暗で、画面だけが明るくなり、運転している感じが伝わりません。
ステアリングをライティングすればそこは解決しますが、ボタンが光ればその手間が減るな、なんて思ったりします。
無駄機能で、走りに全く関係ないので、単なる自己満・贅沢な要望ですが。
私が知っている中で、上記リンクのFANATEC BMW M4 GT3ステアリングと、下記限定品のフォーミュラステアリング(FANATEC公式ブログ)のみ、ステアリングが光ります。BMW M4 GT3は高すぎて買えませんし、限定のステアリングはそもそももう売ってないですし、蛍光はそこまで明るく無い、というコメントも実際所有されている方がおっしゃってた記憶があります。
我が家ではFANATEC Podium DD1は最高スペックなのでメインマシンとして使う
やはり、レースにおいてセルフステアによってステアリングが中心に戻る速さが早いというのはレースでスピンしづらくなり、安定性に寄与します。その点において言えば、DD1は我が家で秀でていますし、パドルも操作時に気持ちいので、このセットは継続して使用予定です。
Podium DD1を通常価格で買うのはちょっと…。現在は値下げされ、新型クイックリリースも付いて来るので一考の価値あり
率直な感想を書きました。
上記のような懸案事項がありますので、DD1を単品で昔の通常価格159900円で買うのは、個人的には積極的にオススメできませんでした。購入直後にモデルチェンジされ、不満点が改良されて同じような価格で販売、とかになったりしたら申し訳ないので。(全然モデルチェンジの有無なんてわかりませんが)
(2024/1/12追記)
2023年のブラックフライデーセールでQR1付きの在庫がなくなったためか、QR2付きのものが販売されるようになりました。136,000円です。
(2023/9/30追記)
と思っていると、9/29にDD1単体が値下げされた状態の136,000円のままで新型クイックリリースQR2もさらに付いて来るという状態に変わっています。(旧型のQR1もついています)
これが単なる販売促進のキャンペーンなのか、モデルチェンジ直前のための最終バーゲンなのかはわかりませんので、何とも言えませんが、安くなっているのは事実。
(2023/8/23追記)
2023/8/23よりPodium DD1単体が159,900→136,000円に値下げされました。
(2023/9/30追記)
2023/9/29よりPodium DD1単体が136,000円のままで、クイックリリースQR1付属で工場出荷されますが、QR2(Type-M)Wheel-Sideもセットで同封されることになりました。
CSL DDより高トルクのハンコンが欲しくて、FANATECのステアリングをそのまま利用したい方は、悩んでも仕方ないので、モデルチェンジまでこれを購入して使うという手もあるかもしれません。
また、セールが始まったり、現在販売されている下記の3点セットとなると一考の価値があるとは思います。
6パドルが付いて、20Nmクラスのダイレクトドライブと6パドル高機能ステアリングのセットで、20万円を下回るお値段のハンコンはなかなかありません。(XBoxにも使える)
(2023/8/23追記)
2023/8/23より194,000→173,555に値下げされました。
(2023/9/30追記)
2023/9/29よりこのセットは販売されなくなりました。
最新で欠点が無い高級ハンコンのセットを求める方にはお勧めしにくいですが、予算を抑えつつ高トルクハンコンが欲しい方は選択肢のうちの一つになると思います。ドイツのFANATEC製(Made in China)、3年保証(または+約25000円で5年保証)ですし。
メルカリとか見られたらわかりますが、リセールもあるようです。(万が一、モデルチェンジ・アップグレードされると、多少リセールは低くなるとは思います。)
約10%の割引が実施され、20Nm級のハンコンとしてお求めやすくなっています。
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コメント
いつも参考にさせていただいております。
質問なのですが、podium DDシリーズにCSLの安いステアリングだと、hight torque keyをさしてもhight torqueにならないのでしょうか?
私はホイールベースをCSL DDからDD2に入れ替えたのですが、ステアリングはCSLのBMWのままでhight torqueになりません。QR2は導入済みです。
ご教授お願い致します。
CSL系のステアリングですと、Podium DD1/2やClubsport DD/DD+でHigh torqueモードを使用できるのは
私の認識ですと、金属QR1、金属QR2、QR2 PROを搭載した
・マクラーレンステアリングGT3 V2
・Universal Hub V2
という認識です。(間違っていたらごめんなさい)
それ以外のCSL系のステアリングは、残念ながら金属製のQR1/QR2を使用してもHigh Torqueモードは使用でき無さそうです・・・
お返事ありがとうございます。
やはりCSL系は対応してないのですね。
GT系の丸ハンドルが好みなので、ClubSports系で探してみますね。
ありがとうございました。