今回、ZENKAIRACING(ゼンカイレーシング)の林代表より案内を受け、同社が運営する D-LAB (Driving Laboratory)を見学・体験する機会をいただきました。これは以下の記事にしたFANATEC(ファナテック)のGTコクピットを見せていただいた流れで、案内していただいています。(その記事についてはまた後日)
自宅DIYレーサーの方にとってはヒントとなるようなところも撮影してきました。読み物として、楽しんでいただけたらと思います。(その中のどなたかが将来利用することがあるかも知れませんしね💡)
レースど素人の僕のコメントは、この施設の利用対象者となる本物のレーサーさんだとか、ジェントルマンドライバークラスの実際のレーサーの方々の参考にはなりにくい(いやならない!)と思いますので、肩肘張らず、何も知らないのに無理にそれっぽい感想を書かずに、感じたことを等身大で書こうと思います。
※この施設は、ZENKAIRACINGのD-LAB公式サイトに記載のとおり、会員制であり、正規の費用を支払って利用する必要があります。あまりブランドイメージを崩したくないので、上品な文章にしないといけないななんて思ったり。D-LABの費用や詳細なプログラムを知りたい方は、この下のリンク参照ください。
この施設は「気軽に楽しむシミュレーター」ではなく、トレーニング施設としてのレーシングシミュレーターです。一つの弱小メディアに対して貴重な時間を割いて案内していただいたので、お礼として書いていますので、多少広告感出てますが、案件ではないです。
自宅にSIMを設置している身として、「自分は今どのあたりを走っているのか(散財しているのか)」「この先に何があるのか」を考える材料として、これほど貴重な経験は少ないですね。
D-LABのページ↓

ZENKAIRACING D-LABという施設について
D-LABは、都内某所の建物内、写真からもわかるようにそれなりの高層階に位置しています。(住所非公開なのでぼかしてます。まぁ、算数が得意だったり、不動産マニアとかだったら、この写真見たらどこの場所か階数とかある程度はわかるのかもしれませんが、撮影全然OKとのことでしたので載せておきます。)

窓からはスカイツリーを一望できます。施設全体の雰囲気は過度にラグジュアリーさを演出しているわけではなく、極めて実務的な印象です。建物内の2室をそれぞれめいいっぱい使って2機のSIMを置いています。
部屋構成は主に以下の通り。
• 待機・ミーティングスペースそれぞれ1室
• GTカー用シミュレーター室
• フォーミュラ用シミュレーター室
合計で4部屋構成となっており、すべてが完全予約制・完全プライベートです。
いわゆる誰でも入れるSIM屋さんとは少し違った訓練施設になっています。
GTカー用シミュレーターで走って感じたこと
55インチ湾曲3画面が作る没入感

GTカー用シミュレーターでは、55インチ湾曲ディスプレイの3画面構成が採用されています。
画面サイズ自体は数字で見れば想像がつくものですが、実際に目の前にすると印象はまったく異なります。シートは、本格的なレースカーのように左右に頭部のガード部分があるものが使用されています。首を左右に振ったらガードによって、画面の端はほぼ見えないようになっており没入感を向上させるのに、頭部保護付きのシートっていいんだなと思いました。(多分乗り降りしづらいけど)

今回、画面の固定方法についても写真を撮らせてもらいました。55インチを支えてるのは一般的なテレビ用?の金具でしたね。また結構な厚みの鉄製のプレート(暗くて見えませんね)を使用して、隣のアルミフレームを接合しています。55インチ3画面、参考にしたい方、どうぞw

部屋を消灯し、走行を開始してしばらくすると、暗さと集中しているせいか、視界の中から壁や天井の存在が消えていきます。
真剣に走れば走るほど、視界に残るのは55インチの画面だけになり、コースへの没入感が一段階深まっていく感覚があります。
使用機材
ホイールベース:SIMUCUBE(シムキューブ) 2 PRO
ステアリング:Cube Controls
ペダル:SIMUCUBE PassivePedal、SIMUCUBE Active Pedal Ultimate、HEUSINKVELD(ヒューシンクベルド)クラッチ
シフター:BDH H2(H-I切替)

モーション× 6点式シートベルト × HANS
D-LABではモーションシステムと身体拘束具が使用されています。
GTカー用シミュレーターでは、
• モーションシステム
• 6点式シートベルト
• HANSデバイス
を組み合わせた状態で走行できます。

今回ハンスは付けてないのですが、
モーションSIMなのでブレーキング時にはシートが前方に傾きます。シートベルトは、シートとは異なる土台に固定されているため、シートが前に傾くと、シートベルトが身体に食い込むようになってGを仮想体験できます。
なお、モーションシステム自体はZENKAIRACINGの他の施設で使用されているものと近いものがあるはずですし、イベントで展示しているかもしれません。
ただし、D-LABではペダル、シフターは厳選された機材が使用され、周りのギャラリーがおらず、自車の音しか聞こえない環境でデータロガーを見ながら現役エンジニアやレーサーたちが指導し、トレーニングをしてくれる環境が整備されています。(SIM屋さんや、体験会場だと賑やかですからね。)
Assetto Corsaでの走行体験
D-LABで使用されているシミュレーターソフトは、Assetto Corsa と iRacingとのこと。
GTカーのシミュレーターでは、富士スピードウェイを数周走らせてもらいました。

正直に言えば、最近あまりSIMを走り込めていないこともあり、本職のZENKAIRACING林代表に走りを後ろから見られるのが恥ずかしいなと感じながら…
取材的な形でSIM機材を見にいったら、「乗ってみてくださいよ」と言われることをしっかり想定して、それなりに走れるようにしてお邪魔しないといけないですよね。(弱小メディアなのであんまり想定していませんが)上手では無いから、これどうにかしないといけないよな、なんて思ってたりしています。
今回は下手なりにコースにとどまるようには頑張りました。コーナーをツッコミすぎとかで姿勢を軽く乱して、モーションを無駄に揺らしたりもしましたが、スピンまではしなかった気はします。と普通に書いていますが、モーションSIMだと、姿勢を崩したらそれが身体に情報として入ってくるのがまた、新鮮ですね。(上手な方はそういうのは少ないんだと思いますが。)
1周目、各コーナーの適切なギアの段数を後ろから教えていただいてたのですが、2周目忘れてるんですよねw
上達が速いレーシングドライバーなんかは、レースエンジニアからの情報だとかでこういう1周1周でしっかりと車の最適なギアだとかラインとかを試行錯誤しながら頭の中に整理していき、1周ごとにタイムを上げていくんでしょうね。
僕は時を戻してお金持ちの家に生まれても、活躍できるレーサーにはなれないなと思いました。
(昨今、SIMやトレーニングメソッドも確立してるでしょうから、僕みたいなおっさんレーサーでも周りに迷惑をかけないぐらいにレースするぐらいならトレーニングでどうにかなると思います)
ブレーキングでは、ABSが介入し、SIMUCUBEのアクティブペダルが反応します。ABSについては車に合わせ独自に設定しているとのこと。確かMOZAアクティブペダルだったら、何%まで踏み込んだら振動する、といった設定でしたが、SIMUCUBEでは現状どこまでいじれるのでしょうか。(そこまで確認できていません)
コーナーを高速で曲がりながら荷重移動がおかしくて荒い操作をしてしまったら、それがモーションやFFBとしてフィードバックされますし、体全体で車の挙動を感じることができます。これが実車と比べてどうか、なんて僕はGT車両を乗ったことないので、なんとも言えませんが、「このコーナー、車・タイヤに負担かけてしまったな」とか、「よくわからないけど、絶対荷重移動ミスったな」とか反省しながら、運転していました。
正規の会員なら、レースエンジニアからテレメトリーを見てもらいながらいろいろと指示・アドバイスが飛んできて、効率的な練習ができるようになっているんだと推察します。
フォーミュラ向けに準備されたSIMもある

もう一部屋あって、フォーミュラポジションのSIMも用意されています。シートが寝ており、フォーミュラの高トルクを模擬するためか、SIMUCUBE最高峰のホイールベースのUltimateが使用されています。(超高級)
↓参考までに最新版のSIMUCUBE3 Ultimate

モニタ上部にはアイトラッキングができるカメラが。目線移動がインストラクターにモロバレになります。
「先ほどのGT用マシンの55インチ3画面と比べると、モニタが小さくなっているようですが、フォーミュラの訓練効果と何か関係があるのでしょうか?」と聞いたら、
「GTよりもフォーミュラマシンの場合、視界が狭く入力速度が速いので縦幅よりも横幅を意識してディスプレイを選択しました」とのこと。「横幅は先ほどの55インチのものと同じです」とのこと。
実際にD-LABで2機の大型3画面のシミュレーターを体感させていただき感じたこととして、もし自宅に55インチを入れる際は、横幅だけでなく奥行きも気にする必要があるということ。物理的には大型3画面とコックピット本体を入れられたとしても、FOV:Field of View(視野の調整)の関係上、画面に対しコクピットを意外と後方に持ってく必要があるようです。

使用機材から見える思想
SIMUCUBEとCube Controls、HEUSINKVELDという選択
D-LABでは、ステアリングベースに SIMUCUBE、ステアリングに Cube Controls が採用されています。ペダルについては、SIMUCUBEのアクティブペダルがブレーキ。アクセルもSIMUCUBE。クラッチとフットプレートはHEUSINKVELD。という組み合わせです。

現状、ハイエンドSIMの到達点としてはこの辺のブランドの組み合わせが一般的なのかも知れません。
シフターについては、【BDH】BDH H2 SQ(シーケンシャル・Hパターン切替タイプ)が使用されています。シーケンシャルとエイチパターン切り替え可能のモデルで20万円ぐらいするモデル。
この日いろいろなシフターを触らせてもらいました。さわっただけでそれぞれの違いがわかるので、結構収穫があった1日でした。BDHはその中で一番高価なモデルです。シーケンシャルなしのHパターンのみのであれば12万円弱なので、手が届くかもしれないですねw

FANATECシフターが4万円。


そして、MMEが17万円程度。

触った感想としては、FANATECのシフターからMMEに行くと、剛性感が上がりガッチリシフトが入る感覚が強いです。そして、MMEからBDHに行くと、剛性感にプラスし、ヌルっとスムーズさが加わるイメージです。
だからと言って安いFANATECがダメなのか?と聞かれると、4万円で3年も保証してくれるので、これはこれで大人たちのエントリーレベルとしては全然悪く無いレベルのシフターではあるわけです。超絶お金を出せる本格派の人は、初めからBDHに手を出せば良いかと思います。

なお、最近ZENKAIRACINGが正規代理店になったFANATEC製品はこの施設では使用されていません。D-LABのコンセプトに合わすとなると、SIMUCUBEメインで選ばれ、シフターについては20万円近いBDHやMMEが選定されているということなのでしょう。
僕が愛用しているFANATECからは、最近Podium DDが発売開始されましたが、トルク値だけでいうと、SIMUCUBE 3 Proに近い。結構思っていたよりリーズナブルな価格で出ています。高いからいい、安いからいい、というわけではありませんが、FANATECはプリセットが準備されてたりして扱いやすいイメージ。SIMUCUBEまでいくと設定とかこだわりが強い人向けなイメージです。
SIMUCUBEはさらに上にUltimateと呼ばれる60万円レベルのモデルがありますので、将来的に、FANATECがその辺まで手を出してくるのか、個人的に興味があるところではあります。
ZENKAIRACINGさんのFANATEC関連ECサイト

ペダル・シフターまで含めた一貫性
ステアリングやモーションだけでなく、ペダル、シフターに至るまで、すべてがハイエンド機材で統一されています。
「高級機材を並べる」のはお金さえあれば誰でも真似できるわけですが、そこからセッティングとなると、長年のノウハウが必要なので、ここは単なるDIYで簡単に真似できないところかとは思います。しっかりしたモーションを導入するとか、理解してモーションの設定とかをするとなると時間が溶けると思うので、モーションまで考えている富裕層の方はプロに頼れば良いかと思います。
モーションだけでなく、ハンコンのセッティングだとか、ペダルのセッティングも結構奥深いですから…完璧を目指そうとすると時間が溶けると思います。
自宅SIMユーザーの視点で考える現実的な選択肢
D-LABの使用機材ですが、モーションとコクピット部分以外は、お金さえ出せば通販で売られている製品が組み合わされて制作されています。とりあえずほとんどがZENKAIRACINGの通販で揃うかと。
しかし、誰もがいきなりこのレベルの環境を自宅に再現できないかと思います。お値段の問題と、あとスペースの問題ですね。
自宅SIMを構築する多くの人にとって重要になるのは、どこまで妥協して自分のレベルにとって必要な環境を手に入れるかという所では無いかと思います。
ZENKAIRACINGの通販ラインナップを見るに、レースSIMの入口としてのFANATECと、よりこだわりが強い方・富裕層向けのSIMUCUBE推しのように思えます。この二社については、ZENKAIRACING ECサイトでホイールベース含めラインナップが豊富です。他社製品は、製品の数を絞っているように見えます。

林代表と、FANATECについて、良い面だけでなく課題も含めて情報共有しました。一部製品の弱みだとか、公式サポートのつながりやすさに波があるといったことは否定せず(そこの穴をZENKAIRACINGが埋めることができるのか)、それでもなお、同価格帯や少し安価なブランドと比べたときの製品の総合的な安定感は高い、という見解です。
私自身、いくつかのメーカーを使ってきた経験から共感できる部分も多くありました。他社製品を横断的に使い込めているわけではありませんが、販売現場と実体験の両方から聞けた話には、ここには書けない内容も含め、面白い情報を知れました。
D-LABを体験したり、裏話を伺ったうえで自宅に戻ると、僕が採用している製品たちは現実的なステップとして、まぁまぁ、合理的だなと思えました。(だって、モーションSIMなんか部屋の中に入れられないし、SIMUCUBEも、Cube Controlsも結構お値段するしw)
あの55インチ3画面、モーションSIM、ハイエンド機材を体験した後に、自宅のSIMを見ると、ちょっとか弱く見えますねw(これでも、DIYで総額90万円程度かかっているかも。いろいろ回り道してるから、もっとかかっています。)

まとめ:この体験から持ち帰ったもの
D-LABは、誰にでも開かれた施設ではありません。しかし、自宅にSIMを設置し、試行錯誤を繰り返している人間にとって、一つの到達点がわかったというか、ここまですると、こんな感じになるんだなっていうのがわかった気がします。
この体験を経て、
• なぜハイエンドSIMが存在するのかがちょっとだけわかった。
・自分のSIMも、まぁまぁいいじゃんって思えた。
• ZENKAIRACINGがどんな視点で機材を扱っているのかがちょっとだけわかった
もしこの記事が、これからSIM環境を考える誰かの判断材料になれば、今回案内してもらった意味は十分にあったのではないかと思います。
そして、あまりD-LABの利用者層に届くかどうかわかりませんが、もしこの記事をみてD-LABを知って入会した方、「なんかあの変なブログに書いてる記事も見て来た!」とか言っていただけると、「あの弱小ブログ、案外影響力あるな」とZENKAIRACINGの方が思ってくれるかも知れませんw(多分本物のレーサーのYoutubeとか知人の紹介からの人が多いと思いますが💡)※僕にD-LAB紹介料は入りません。

何かの参考になった方、暇つぶしになった方、いいねいただけると嬉しいです!


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